
ターゲット受容体の立体構造が既知の場合、そのリガンド結合部位に適合するリガンド構造を探索し、さらに良く適合するように化学構造を最適化する"Structure-Based Drug Design(SBDD)"が適用できます。 FlexSISは、SBDDのために重要な手法である、リガンド−受容体間相互作用モデルの解析や Induced-fit、受容体構造に基づくコンビケム設計、バーチャルスクリーニングなどを可能にします。
FlexSIS は、世界中のユーザーに広く利用されているFlexXの配置アルゴリズムをSingle Interaction Scan(SIS)に置き換えたドッキングツールです。リガンド分子をフラグメント単位で受容体のリガンド結合部位上に順次配置し分子の結合構造を構築します。受容体上で水素結合、疎水相互作用、静電相互作用などを形成する1個の原子と相互作用可能な位置にリガンドの対応する1個の原子を置き、それらの原子を結ぶ相互作用軸の周りに回転させてフラグメントを配置していきます。それらの中から受容体の原子と衝突せず、受容体との親水・疎水相互作用のスコアの良いドッキング構造を高速に求めます。
| 計算対象: | FlexSIS は、リガンドと受容体間の相互作用点が少ない系や、水素結合が少なく主に疎水相互作用で結合するステロイドなどを含む系にも適用できます。 また配位結合や結晶水を考慮したドッキングも可能です。 |
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| 計算速度: | 1分子あたり1分程度で処理します。 |
| 配座解析: | フラグメントの配座解析は、二面角の自由度と環構造の配座の柔軟性を考慮して行います。 |
キナーゼはリガンド結合部位が比較的広くかつ浅いのでドッキングシミュレーションで結合構造を再現するのは困難です。 Serine/Threonine-Protein Kinase Pim1-BI1 (2BIK) の系では、強い相互作用対の数が少なく、リガンド−受容体間の相互作用は Glu_121との水素結合が1対のみ存在します。 FlexSIS はこのような系にも対応し、この1つの相互作用から始めてリガンド分子を構築し、結晶構造の重原子とのRMSD ≒ 1.1 Åの構造が得られました。
ステロイド dexamethasone は多環系で、 Glucocorticoid Receptor との複合体 (1M2Z) では水素結合は弱く、主に疎水相互作用で受容体と結合しています。この系に FlexSIS を適用した結果、 RMSD ≒ 0.9 Å の構造を得ることができました。
遷移金属との配位結合がリガンドの結合様式に強く影響する場合があります。FlexSISはPDBの中で多く存在する配位構造の中から適するものを割り付け拘束を割り当てドッキングが可能です。図はPDB:1O86についてのドッキング結果です。亜鉛原子(水色)との配位結合に拘束をかけて計算し、RMSD ≒ 0.9 Åの構造を得ることができています。配位構造の拘束を実行するにはFlexSIS-Pharmが必要です。
リガンドの結合部位中の結晶水の取り扱い方法として、必須であるか、または、除去可能であるかを定義することが可能です。必須の水分子の場合は、リガンドの結合構造によって水素原子やローンペアの方向を自由に回転させる、もしくは、ユーザがそれぞれの方向に拘束をかけることがができます。除去可能な水分子の場合は、リガンドと衝突するドッキング構造の場合は自動的に削除して計算を行うことができます。
| FlexSIS-Pharm | 受容体構造から導き出されたファーマコフォアで、リガンドのフラグメントが持つ相互作用に拘束をかけて配置を絞り込みます。配位結合の拘束にはこのモジュールが必要です。 |
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| FlexSISC | FlexSIS の処理対象をコンビケムで構築される化合物に拡張したモジュールです。先ず母核フラグメントを配置し、その後、指定した置換基構造を順次結合させ受容体ポケット中でコンビケム合成を行います。配置情報を再利用することで、高速に効率良く構築を行います。 |
| FlexSIS-Ensemble | FlexSIS-Ensemble は、リガンド結合部位の取りうる配座の集合に対してドッキングを行うことにより、リガンドと受容体との Induced-fit を行います。 |
| FlexSIS-Screen | FlexSIS-Screen は、最適化された相互作用モデルと既に計算された配置情報を再利用することで、ターゲットタンパク質に対してのリガンド分子群のスクリーニングを高速化します。PVMを使用した並列処理に対応しています。 |
